NYUランゴーンメディカルセンター「明るい兆しへ」

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BCネットワークJapanは、乳癌治療に携わる医師の協力を得て、乳がん経験者や患者さんだけでなく、
若い女性に対して乳がんや健康について重要な情報を発信していく事を主にしているNPOです

NYUランゴーンメディカルセンター「明るい兆しへ」

2010年11月

News and Views .......Sep/Oct 2010 A Publication for The NYU Langone Medical Center Community NYU Langone Medical Center
“The Future Looks Bright”
A Conversation with Dr. Freya Schnabel, Director of Breast Surgery

“明るい兆しへ”
フレヤ シュナベル先生インタビュー(NYUランゴーンメディカルセンター 乳腺外科部長)


乳がんはアメリカで蔓延しているのでしょうか?

長い間乳がん患者の数は増加の一方でした。それはマンモグラフィー検診が普及した事と関係しているでしょう。2004年には初めて乳がんの発症率が少しですが下がりました。これはホルモン補充療法(HRT)を中止する女性達がいたことと関係しているかもしれないと考えます。しかしながら乳がんは女性の9人に 1人がかかる非常にありふれた病気であり続けています。


生存率は良くなっているのでしょうか?

転移性がん患者を含めてどのステージに属す患者さんも生存率は良くなっています。15~20年前は今に比べて医師としてできることが限られていました。どちらにしても乳がんと戦う一番良い方法は早期発見です。


検査機器は進歩しているのでしょうか?

乳房のMRI検査は飛躍的に進歩をとげた検査機器の一つです。私たちが使用している機器の中でも一番精密で、マンモグラフィーや触診で発見できなかった乳がんの3%を発見できています。しかしながらマイナスな部分もあります。それは高額で不便であり、造影剤を使用しなければいけないなど面倒な側面や、またある程度の偽陽性の結果が出ることで必要のない組織検査や更なる検査をすることになるからです。結果としてMRIは新しく乳がんにかかった女性でがんが他の場所に浸潤しているかどうか診断したり、乳がんにかかる可能性の高いハイリスクの女性に積極的に使用されています。


ハイリスクとはどの様に分類されるのでしょうか?

一番乳がんにかかる可能性の高いハイリスクな女性というのはBRCA1とBRCA2という乳がんのリスクを高める遺伝的変異を持つ人です。この様な BRCA1とBRCA2の遺伝子の保持者は一番乳がん罹患リスクが高く、50%から85%の割合で乳がんを発症し、また16%から85%の割合で卵巣がんをも発症します。他にもわずかではありますが乳がんを発症する遺伝子があります、しかしながらBRCA1やBRCA2ほどのインパクトはありません。次に可能性の高い人は遺伝的変異がない人で異型過形成や非浸潤性小葉がんが認められた人です。組織検査で乳房の細胞に変化が見られることによりそのような症状と診断されます。更には乳がんを発症する人が多い人家系の人はリスクも高まります。乳がん患者とどのくらい家系的に近いか、乳がんが発症した年齢、そのパターンなど様々な因子があります。


乳がんが母方、父方の家系にどちらかの家系にみられるという事は重要ですか?

両親からそれぞれ半分ずつ遺伝子を受け継いでいるため、特に違いはないようです。事実、父方から受け継いだBRCA遺伝子の変異というのはその父親が乳がんを発症しないことがあったり、乳がんを患った人が全て遠い親戚であったりして、きちんとした認識がされていないことが多々あるようです。家族履歴やアブノーマルな遺伝的を持つ女性が乳がんにかかることは少ないです。乳がんというのは複雑な病気で今でも直接の原因というのはわかっていません。

*治療に関しても進歩をしているのでしょうか?

進歩しています。一昔前の薬では良い細胞も悪い細胞も共に殺してしまうものでしたが、がん細胞に直接効く新しい製薬があります。例えばハーセプチンはがん細胞の増殖を促すアブノーマルな遺伝子を持つ乳がんの25%から30%に効き目があります。このような治療は個々の特有ながんにターゲットを合わせることに役に立ちます。アバスティンはがん組織に栄養を送る血管の成長を阻害します。また患者自身の遺伝子ではなく、そのがん細胞の遺伝情報を読み解くことにより再発のリスクを予想するのに役立つ分析方法などもあります。


予防的に行う乳房切除手術は健全な選択でしょうか?

BRCA1, BRCA2の遺伝子変異を持つ人にのみ純粋な予防方法として選択があると思います。一度乳がんにかかってしまった女性(治療後の年数にかかわらずです)のリスクは乳がんにかかったことのない健康的な女性のリスクとは決して同じではありません。がんが発症する可能性のある乳房が残っているのならなおさらです。事実、この様な女性の中で乳房全摘出手術を行う人は増えています。私達医師が処方している乳がんのリスクを下げるであろう唯一の薬としてははタモキシフェン(ノルバディックス)とラロキシフェン(エビスタ)があります。


NYC Cancer Instituteではどの様なリサーチが行われていますか?

乳房の部分的切除法でどのくらいの組織を切除するか特定することのできる機器の臨床試験をを多施設と共に行っています。がんを完全に切除するためには切除したがん細胞の回り全てにがん細胞が残っていない安全域(クリアマージン)を確認することが必要です。微小の乳がんではどこまでがんが広がっているかわかり辛く、およそ20%の患者が再度の手術を行いよりたくさんの組織をとることになります。私達が研究をしている機器(MarginProbeといいます)は電波分光法(Radiofrequency Spectroscopy)を用いて健康な良性と悪性の組織の違いを区別するのです。手術室では切除された組織の表面を医者が調べ、コンピューターアルゴリズムを使いさらに分析されます。もし切除された組織のマージンに悪性の腫瘍が残っていた場合、MarginpProbeという機器は一回機械音を鳴らします。そしてマージンに腫瘍が完全に残っていず、これ以上切除しなくても良い場合2回機械音がなるのです。また私達はArlene and Arnold Goldstein と Mahnasset Women’s Coalition Against Breast Cancerからの多大な寄付により乳がんに関するデーターベースを着手したところです。このセンターで乳がんの手術をした全ての患者についての情報が集められています。


近い将来どのような進歩があるでしょうか?

画像診断において興味深い新しい技術が研究中です。乳房のトモグラフィー検査(断層撮影法)は乳房を立体的に再構築し、核スキャン(Nuclear scan)を用いてどの様に乳房の細胞が働いているかなどの情報が得られることを望んでいます。局部的な乳がん治療の進歩としては病巣、または病巣内におけるラジオ波焼灼術(Radiofrequency Ablation )やがんを凍結する(Cryotherapy)凍結療法などがあります。個人的には新しいタイプのPARP阻害剤といわれる新薬に期待を寄せています。この薬は破損しているDNAを修復するときに出るエラーを正すといわれています。この様なことをみても乳がんに対する未来は明るいといっていいでしょう。